公益社団法人 愛知県診療放射線技師会

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教育基準

放射線技師の専門職のための教育基準

1. 0 はじめに
1. 1 目的

診療放射線技術の画像分野では革新的な進歩・発展が見られ,また教育に対する基本的な考え方も変化してきているが,本文書はそのような発展や変化を反映するためのものである。

本文書の目的は,自由な意見交換を促し,放射線診断における診療放射線技師(MRT)のための教育プログラムを,世界中でさらに発展させることである。本文書は,助力を求める要請に対応する中からできてきたものであり,放射線診断の国際基準に対するガイドとして役立つよう,作成された。

本文書は,有能な専門家としての仕事の基礎となる役割や,知識の範囲,特性を明らかに示すためのものであり,それによって,放射線診断の専門職の基準を確立する枠組みを提供するものである。

1. 2 基本的な考え方

専門職とは,人々に対して,各人のニーズに合ったサービスを提供するということである。人に対して意味のあるサービスを提供するためには,その対象となる個人をはぐくんできた文化や習慣,社会パターンから,当人を切り離すことはできない。また,放射線技師が,医療チームの一員としての自分の役割を理解するとともに,他の医療専門職種の役割を理解することが等しく重要なことである。プログラムを開発する上での理念は,学生に対する教育の質であり,患者に対するケアの質である。

専門教育とは,独自の知識と技能を展開し,それを教育プログラムに結びつけてゆくことである。その性質からいって,専門教育では,専門職の役割を効果的に果たすために必要な姿勢も育成しなくてはならない。プログラムの設計は,幅広い立場に立ち,学生中心のものでなければならない。これによって,研究や調査への道が拓かれ,学生及びこの専門職自体が将来さらに発展していかなくてはならない。主なポイントは,学生が自らやる気を起こすようにし,批判や評価を行う技能を伸ばし,独自な考え方を奨励することである。

1. 3 適用

本文書は,各国組織のための勧告ガイドラインである。具体的な事項を列記することが目的ではなく,様々な教育システム,医療システムの構造,ならびに社会経済的パターンのニーズに見合うためのものである。

本文書では,放射線技師に対する学歴ならびに臨床上の必要要件は,国内でも多様であるし,各国によっても異なることを認識している。これは,既存の教育プログラムや医療社会における現在,将来のニーズ,既存の政策によって定まってくるものである。

本文書は,与えるべき資格や免許のタイプを示すものではない。

1. 4 解釈

本文書では,男性用で使用している用語は,すべて女性も含む。

文脈上,特に別の意味を含まない限り,各用語が意味する内容は以下のとおりである。

許認可当局 放射線技師のプログラムを組織し,資金を出し,監視もしくは認定する責任を有するような政府当局,職業団体もしくは他の人々。
諮問委員会 教育プログラムの構成に関して勧告を行うように,組織から任命された委員会
認定 教育プログラムを修了したことを示す資格証明書,賞,修了書,学位記,その他の文書で,雇用時に認定のために用いられるもの。
コースの監視 プログラムに対する教育の質をきちんと維持するための一連の活動で,「プログラムの品質保証」と表現されることもある。
臨床現場 専門家が自分の役割を果たす領域や状況。
臨床教育 臨床現場で,学生に対し臨床経験をさせるプログラムで,患者に対する作業も含むことがある。
能力レベル 臨床現場において,特定の専門的技術に対して求められるパフォーマンス(作業)のレベル。
画像診断 電離放射線もしくは非電離放射線を使用する診断法。
X線診断 診断を目的としたX線撮影法。
教育施設 放射線技師のための教育プログラムを組織する施設。
一般撮影 従来の放射線撮影法。
放射線技師 Medical Radiation Technologists, Radiographers, Radiological Technologists, Radiation Technologists, Imaging Technologists
その他,当該専門領域における国家認定教育プログラムを修了した者。国によって用語が異なることは認めるが,作業のレベルならびに責任は同じである。
核医学 放射性核種を取り扱う医療措置。
照射線量 いかなる放射線検査を行う場合にもまず,患者の状況に関して,照射は可能な限り最少限にする(ALARA Principle ; As Low As Reasonably Achievable)原則を考慮しなければならない。
放射線治療 X線もしくはガンマ線を使用した腫瘍疾患の治療。
学生中心 学生が,自分自身の学習に積極的に関与する機会と責任を与えられていること。
2. 0 放射線診断における技師の役割

放射線技師は,画像診断部門における7つの重要な領域を結びつける上で,中心的な役割を果たしている。7つの領域とは以下のものである:

  • ペイシェントケア
  • 画像技術の利用
  • 線量の最適化
  • 臨床責任
  • 組織化
  • 品質保証
  • 教育・訓練

これらの領域における技師の役割は,以下の通りである:

2. 1 ペイシェントケア

放射線技師は,患者のケアにおける患者の福利に関して,直接的な役割を果たすとともに,監督も行い,患者が安全で質の高いケアを受けられるようにする。

2. 2 画像技術の利用

放射線技師は,電離放射線を使用する診断用画像の作成という幅広い範囲において,唯一認められた専門家である。

2. 3 線量の最適化

国際放射線防護委員会(International Commission of Radiological Protection)は,その出版物ICRP361)の中で,放射線技師は患者の放射線防護に関して重要な立場にあると述べている。放射線技師は,その専門知識や技能,ケアを用いて,広い裁量内で,患者に照射する放射線量を決定する。

  1. 1)Annals of the ICRP Vol. 10 No. 1 1983, Pergamon Press
2. 4 臨床責任

放射線技師の主たる専門知識及び責任は,画像診断においてあらゆる種類の技術を駆使し,その後にその仕事の質を評価することである。

2. 5 組織化/管理

放射線技師は,組織内の役職に応じて,業務を適切にまた効率的に組織し,資源を活用し,自分の責任領域に対し部門の方針や規約(プロトコル)を適用する責任を負っている。

2. 6 品質保証

放射線技師の責任領域すべてにおいて,品質保証の手続きが必要である。したがって放射線技師は,部門の品質基準を策定し,維持し,監視するチームの正式メンバーでなければならない。品質保証プログラムがない場合には,放射線技師がプログラムを提案し,確実にそれを実施する責任を有している。

品質保証は,患者に対する最少の放射線量で最適な画質が一貫して得られるように,効率的に,注意深くまたコスト効果が上がるようなやり方で行う必要がある。

2. 7 教育・訓練

放射線技師は,現場の専門職として,新しい進歩や開発に応じて常に最新の技術を駆使できるようにしておくとともに,患者のためになることが実証されている研究成果については適用しなくてはならない。

臨床の場で働く放射線技師は,放射線技師学生の臨床教育に携わらなければならない。放射線技師の資格や能力,役割により,適切な状況で他のスタッフに助言し,指示し,監督することができる。さらに,学生や他の専門職,一般の人々に対する理論面の訓練への参加を要請されることもある。といっても,資格を得たばかりの放射線技師が有能な教育者であるべき,というわけではない。時間の経過とともに,放射線技師は経験を積み,さらに研究を重ね,自分の専門領域の学生や後輩を教育し,導くことができるようになるはずである。

3. 0 教育目的ならびに能力
3. 1 目的

以下が,放射線撮影学の学生のための教育プログラムの目的である:

  1. a)臨床での経験と学問として学んだ内容を統合することができるよう,放射線撮影学の幅広い側面に対し,十分な基礎を提供すること。
  2. b)十分に関心を持って患者中心のアプローチをしてほしいという患者のニーズに対し,学生が進んで責任を負うよう,励ますこと。
  3. c)学生が自分の知識と理解を新しい状況に当てはめていくことができる能力を育成すること。
  4. d)学生が自信を持って,自分で工夫をしながら,独立して,責任感を持って行動できるようにすること。
  5. e)さらに上級の学習に進めるコースを用意し,それによって,教師,臨床スーパーバイザー,研究者や管理者の将来の育成のために,先に進んでいける教育システムを提供すること。
3. 2 能力
3. 2. 1 はじめに

本セクションの目的は,有能な専門家としての必要な技能や知識,能力を示すことである。

放射線診断において資格を有する放射線技師は,歩行可能で協力的な患者,歩行不可能で非協力的な患者,理解ができない患者や,大きな外傷もしくは衰弱性疾患の患者など,あらゆる年齢のあらゆる条件の患者に対して,検査・評価を行う能力が求められる。

検査の範囲には,一般撮影(外傷性ならびに非外傷性),造影検査,ポータブル・手術室撮影が含まれていなければならない。

すべての放射線技師は,ペイシェントケア,画像技術の利用,線量の最適化,臨床責任,検査の組織化及び品質保証の項目ごとに,教育コースのチームが定義した能力を示さなくてはならない。

地域や国によっては,その他の手順や様式でルーチン項目もしくは特殊項目と考えられるものがある。たとえば,CT,デジタルラジオグラフィー,超音波検査,RI検査,MRIなどである。これらをカリキュラムに含める場合には,類似項目もしくは適切な項目を用いるプログラムによって,具体的な能力を定義しなくてはならない。

3. 2. 2 能力に関する説明

(以下のリストは,重要な順に並べられているわけではなく,また完全なものであるとも限らない)

3. 2. 2. 1 ペイシェントケア

放射線技師は,以下の能力を有していなければならない:

  1. a)患者の確認を適切に行う。
  2. b)患者が検査に協力してくれるように,最初に患者に検査の内容を明確に説明し,患者にインフォームドコンセントを与える,もしくは与えたことを確かめる。
  3. c)倫理的・道徳的配慮を満たしている。
  4. d)以前に実施した撮影で,必要な情報が既に得られていることはないことを確認する。
  5. e)関連病歴が得られていることを確認する。
  6. f)同時に行われる処置や検査によって良好な撮影結果が妨げられることはないことを確認する。
  7. g)準備指示または前投薬,また造影剤が適切に投与されていることを確認する。
  8. h)妊娠しているかどうかの適切なチェックが行われており,適切な対処が取られていることを確認する。
  9. i)患者の放射線防護状態に配慮する。
  10. j)適切なアフターケアを行う。
  11. k)血液伝染性病原体,特にHIVや肝炎などに重点を置いて,相互感染を防止するための適切な設備と方法を用いる。
  12. l)使用する方法が最良の方法であるかどうかを判断するために,検査前に患者の状態を調べること。
  13. m)必要な場合には,基本的な救命措置を開始する。
  14. n)その他の緊急事態に適切に対処する。
  15. o)適切な訓練及び許可が与えられている場合には,画像を撮る目的で静脈内注射を行う。
3. 2. 2. 2 画像技術の利用

放射線技師は以下を行う能力があり,またできなければならない:

  1. a)要請の目的について判断を行い,適切に対処する。
  2. b)最終的に得られる画像が最適なものになるように,患者のポジショニングを行い,X線管や画像記録装置,その他の補助装置を適切に設置する。
  3. c)放射線部の規約に必要な調整に関して判断を行い,適切な対処を行う。
  4. d)装置を安全に正しく使用する。
  5. e)装置を不適切に使用したために,最終的に得られた画像にミスが生じたということは起こらないようにする。
  6. f)患者の状況を考慮の上,最良の画像が得られるよう,撮影条件と感光材料の適切な組み合わせを選択する。
  7. g)フイルム画像または動画像を作成し,保管する上でのあらゆる方法を維持し,制御する。
  8. h)得られた画像が目的に適合したものであるかどうかを評価する。
  9. デジタルイメージングが関わっている場合には,放射線技師は,上記の要素に加えて以下ができる能力を有していなければならない:
  10. i)さまざまな断面に関する詳細な解剖知識を用いて,必要な三次元情報が得られるように患者のポジショニングを行う。
  11. j)プログラムを選択する。
  12. k)補償フィルターの使用,注入のタイミング,撮影条件の選択など,選択したパラメータを用いた場合,予測される画質について助言する。
  13. l)最適画質を得るために,データを記録し,適合させ,再構成する。
  14. m)情報を保管し,検索する。
  15. n)得られた画像が読影・診断用に適しているかどうか,評価する。
3. 2. 2. 3 線量の最適化

放射線技師は,以下の能力を有していなければならない:

  1. a)最良の画像を得ながら患者に対する線量は最少限になるよう,撮影条件や感材等を選択し,操作する。
  2. b)使用する装置すべてが,その目的に完全に適合していることを確認する。
  3. c)患者やスタッフ,一般の人々への線量を最少限にとどめ,いかなる人も不必要な照射を受けることがないように,すべての装置と方法を用いる。
  4. d)妊娠可能な患者の撮影に関する規約が適用されていることを確認する。
  5. e)線量の記録に対する必要要件をすべて満たす。
  6. f)放射線に関する緊急事態に対しては,適切な対処を行う。
3. 2. 2. 4 臨床責任

放射線技師は,以下の能力を有していなければならない:

  1. a)自らの行動に関して,専門職として責任を取る。
  2. b)自らの専門性に関する限界を判断し,適切な対処を行う。
  3. c)情報の機密性を保持する。
3. 2. 2. 5 組織化

(以下の能力は,新しく資格を取得した放射線技師に当てはまるものである)

放射線技師は,以下の能力を有していなければならない:

  1. a)個々の検査を効率的に行う。
  2. b)自分の責任領域内の仕事を効率的に行う。
  3. c)自分の仕事に関連のあるすべての適用法令に準拠していることを確認する。
3. 2. 2. 6 品質保証

放射線技師は,自らの仕事の質を評価できる能力がなければならない。

上記各項目(3. 2. 2. 1~3. 2. 2. 5)の各々に関して,注意しなければならない。

4. 0 カリキュラム開発に関するガイドライン

放射線技師が,その技術や応用に必要なレベルの理解と技能に達することができるように,公式のカリキュラムが必要である。公式カリキュラムは,多数の統合カテゴリーに分けることができ,それぞれに多数のコースが含まれる。以下のモデルは,カリキュラムの概念的枠組みを示すものである。

本モデルを用いることにより,カリキュラム開発を行うグループは,種々のコースのテーマの関連を見ることができる。前章に概略を記した教育の目的ならびに能力を考慮に入れたものである。

4. 1 モデル

以下に,モデルをより詳細に説明する:

4. 1. 1 臨床教育

この要素は,上記のコースの中心となる枠組みである。これによって学生は,本文書のセクション3に概説してあるあらゆる能力を育成することができる。

臨床教育は,患者中心でなければならない。また,臨床現場,つまり専門職の仕事場で行わなければならない。

4. 1. 2 中心となるコース

以下は,学生が教育の目的及び能力を満たすために受講しなくてはならない中心となるコースの要素を挙げたリストである。それぞれについて簡単に説明する。

4. 1. 2. 1 放射線の安全性/防護

本コースは,放射線の危険と,スタッフや患者ならびに一般の人々に対して必要な放射線防護の要件を学生に理解させ,効果的に適用できるようにするものである。

4. 1. 2. 2 品質保証

本コースは,画像システムならびに手順を評価するために必要な理解と技能を学生に与え,画質の向上と維持ができるようにするものである。

4. 1. 2. 3 画像技術/作成手順

本コースでは,多様な条件下で画像の作成に必要な概念と技能を学生に教える。理論的な概念や検査手技と,臨床上の適用を統合するように,注意を払わなくてはならない。

4. 1. 2. 4 装置

本コースでは,学生が自信を持って装置を使用できるようにするために,画像作成に用いるすべての装置を理解させる。

4. 1. 3 関連コース

このコースを設置する主な理由は,学生に「中心となるコース」を受講するために必要なレベルの理解と技能を与えることである。以下に,推奨コースについて簡単に説明する:

4. 1. 3. 1 医学

本コースでは,人体の構造,機能ならびに疾病パターンを学生に理解させる。このコースには,解剖学,生理学,病理学ならびに生化学を含めなければならない。

4. 1. 3. 2 物理学

本コースでは,種々の画像技術に適用するために必要な一般物理及び放射線物理を学生に理解させる。

4. 1. 3. 3 放射線生物学

本コースでは,人体に対する電離放射線の影響について学生に理解させる。

4. 1. 3. 4 数学/統計学

数学は,科学の原理を理解するための基礎である。統計学を用いることによって,学生は種々の画像モダリテーで作成したデータを分析することができる。

4. 1. 3. 5 電子工学

本コースによって,学生は,電子装置の原理と操作について理解できるようになる。

4. 1. 3. 6 管理

本コースによって,学生は,管理に関する知識と技能を育成する機会が得られる。

4. 1. 3. 7 研究方法論

本コースによって,学生は,研究プロセスに関与している要素を理解し,利用する機会が得られる。

4. 1. 3. 8 看護学/患者管理

本コースによって,患者の身体的ニーズ及び心理的ニーズを含むペイシェントケアの概念を学生に理解させる。学生は,さまざまな状況下で,多くの日常的措置及び緊急処置を行うことができるようになる。

4. 1. 4 一般教育コース

以下の目標を達成するために,このコースが設けられている:

  1. a)学生がより有効なコミュニケーションができるようにする。
  2. b)放射線の領域内もしくは放射線以外の領域に関し,さらに関心を深めさせる。
  3. c)学生が自信をもって社会で実践できるように,身体面を含めて,学生を総合的に育成する。

本コースのリストには,以下のものが考えられる:

4. 1. 4. 1 行動科学

(例,心理学,社会学)

これらのコースでは,人間の発達と行動に関して理解する。

4. 1. 4. 2 コミュニケーション技能

この技能によって,学生が種々の状況において効果的に対応したり,機能することができる。

4. 1. 4. 3 コンピュータ・サイエンス

このコースでは,コンピュータの操作原理ならびに関連技術に関する理解を学生に与える。このコースではまた,コンピュータを有効に利用するために必要な技能を修得させる。

4. 1. 4. 4 選択コース

選択コースや学生活動を通じ,学生はその施設で特に関心のあるものを追求する機会が得られる。選択コースは,必ずしも放射線技術に関連したものでなくてもかまわない。例えば,コンピュータ言語,経済学,哲学,保健ならびにフィットネスのコース,国内の技師会や学生団体での活動などである。(ここに列記したものがすべてではなく,それぞれの事情に合うよう修正することができる)

4. 2 教授法ならびに学習戦略

コースは,学生中心でなければならない。

コースの順序に考慮しながら,理論と実践を統合するコースのテーマを計画的に開発しなければならない。

学生が最大の時間を臨床現場で費やすことができるように,臨床教育を組み立てなければならない。

プログラムを通して継続的に学生の成績を評価し,その後,建設的なフィードバックを与えることを第一に考慮しなければならない。

4. 3 評価

継続的な評価及びまとめの評価(修了時)を行わなければならない。臨床成績を評価する際には,客観的方法を用いるのがよい。

評価方法は,コースの教育目的に適合し,その目的を満足させるものでなければならない。

評価手順はすべて,内部ならびに(もしくは)外部の品質管理の対象とならなければならない。

4. 4 適用

様々な教育状況や学生の入学時レベルによって,それぞれのプログラムの構成や内容に影響が出てくることがある。さらに,多くの国々で,プログラムの期間(履修期間)が長くなる傾向があることも認められている。この傾向は特に,長年にわたって確立されたプログラムを有する国に見られ,研究ならびに専門職の発展を奨励する発展的プロセスの一環であると考えられている。

必要な能力を身につけ,患者の安全性が確実なものとなるためには,プログラムの履修期間は3年以上であるべきである。

5. 0 組織ならびに資源
5. 1 組織
5. 1. 1 諮問委員会

諮問委員会を設置するとよい。諮問委員会は,教育プログラムを立案し,実施し,また継続的に発展させるために大きな貢献をすることができる。

本委員会の性質や構造,構成については,それぞれの状況によって決まってこよう。委員会のメンバーを選ぶ場合には,その職種に対する自らの専門知識を通じて,もしくは関連する職種の代表者として何らかの影響を与えたいという関心を通して,専門職に関わりを持っていることを基本としなくてはならない。この諮問委員会には,放射線診断を専門としているメンバーが含まれていなければならない。

5. 1. 2 教育機関

放射線技師のためのプログラムは,医用画像部門との協力の下,大学もしくは高等教育機関で提供することができる。課程修了者には,学位もしくは修了書が与えられる。コースをいくつかの病院に関連した独立した教育単位として行うこともできるし,独自の認定証を出す1つの病院で統合的に行ってもよい。

どのようなモデルに従おうとも,各国の放射線教育の基準は,許認可当局によって保護されていなければならない。この許認可当局は,この作業を行う資格を持った選任メンバーから構成される委員会を任命しなくてはならない。放射線技術の進歩を専門職としての実践に反映させるために,定期的に教育プログラムを見直す責任は,この委員会が負うべきである。

5. 1. 3 臨床現場との提携

指導または監督下での臨床経験は,放射線技師になるための準備において必要不可欠な部分である。臨床現場では,学生は常に,放射線技師の監督下で作業を行わなくてはならない。臨床実習を行う施設は,特定の基準をもとに選択しなければならない。臨床現場で,必要な能力が得られなければならない。

5. 1. 4 教育プログラムの責任者

プログラムの責任者である放射線技師は,その地位での義務を引き受ける態勢が十分にできていなければならない。また,プログラムの責任者は,プログラムの立案ならびに実施の調整を行い,学生の教育に関して,臨床スタッフ等を監督し,評価する直接の責任者である。

5. 1. 5 学生選抜の一般的基準

「中等学校教育」という普遍的な概念では,学生に成人社会の中に位置する準備をさせるために,初等教育よりもはるかに多くのものを提供するレベルを意味している。したがって,学生は,さらに高等教育を受ける態勢を整え,高度な研究を行う能力が身につくよう,公認された中等教育を修了していることが望ましい。選抜は,学習成績だけで行うべきではない。成熟度や情緒安定性,社会的責任に対する満足のいく姿勢,コミュニケーション能力も等しく重要である。

受験学生の肉体的・精神的健康についても,考慮しなければならない。

5. 1. 6 資格認定

プログラムの修了時には,学生は,放射線診断だけでなく関連分野からも専門職として認められる資格認定を受けることが重要である。したがって,そのような認定証を出す機関の賛助を得てプログラムを確立するか,もし別個にプログラムが確立している場合には,卒業生が認められた職業的資格を得られるよう,注意を払わなければならない。

5. 1. 7 生涯教育

これまで記述してきた教育プログラムによって,医療放射線技術の幅広い観点に対する健全な基礎が得られる。これは出発点として考えるべきであり,ここから個別領域における深い知識を身につけていかなくてはならない。放射線医学の情報が増えていくにつれて,専門家教育がますます緊急に必要となりつつあり,資格認定後の教育を確立しなければならない。

教育を行うスタッフに対して,より高次の教育を促進することを真剣に考えなくてはならない。

生涯教育プログラムによって,放射線専門職における適切な教育システムへつながるより良い道が開けるはずである。

5. 1. 8 研究

放射線技師ならびに教育スタッフに対して,研究プロジェクトに着手し,参加するために必要な教育や支援,奨励を与えなくてはならない。これは,教育的なものでも臨床的なものでもよいし,より高い資格を目指したものであってよい。

5. 2 資源
5. 2. 1 物理的資源

一度に教えることができる学生の数に合わせて,いくつかの必要要件を確立しなければならない。プログラムが実習病院と連携して実施される場合には,施設を共有することが可能である場合が多い。通常の講義を行う場所だけでなく,セミナーや小グループによる討論,デモンストレーション,実験,学生に対するカウンセリングを行う場所が必要である。

5. 2. 2 財源

スタッフに対し,給料と装置や書籍,教育用具のための資金を出すために,適切な財政的支援がなければならない。

5. 2. 3 人材

臨床ならびに講義において教育を行う放射線技師は,適切な資格を有する者でなければならない。十分な数のサポートスタッフも必要である。

6. 0 コースの監視
6. 1 外部監視

各国がそれぞれ,国の技師会や許認可機関による見直しを定期に行うためのシステムを有するべきである。

6. 2 内部監視

教育機関には,必要であるとわかった場合には,修正・適合ができるよう,継続的に教育プロセスやメカニズムの評価を行う明確なプログラムが必要である。このプログラムでは,少なくとも年一回以上,試験や評価の結果,試験官の意見(内部,もしくは適切な場合には外部),ならびに臨床現場その他の関係当事者からの報告に対する見直しを行わなければならない。

必要な場合には,本プログラムの責任者や責任チームは一連の修正行動を提案し,その後定められた間隔で,その有効性についての報告を行わなければならない

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